第9教室:『湖畔』(ドイツ語学習)『アルト・ハイデルベルク』学習済み

『湖畔』を読みながらドイツ語の学習をしましょう.

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(13)(シュトルム作)

 
湖畔(13)
IMMENSEE(13)


——————————【13】—————————————————
  
——Nachdem  der  Alte  Hut  und  Stock  in  die  Ecke
gestellt  hatte,  setzte  er  sich  in  den  Lehnstuhl  und
schien  mit  gefalteten  Händen  von  seinem  Spaziergange 
auszuruhen.  
  

.——————————(訳)————————————————

——老人が帽子とステッキを部屋の隅に置くと、彼は肘
掛椅子に座り手を組み合わせて、散歩からの体を休めて
いるようにみえた.

 

.——————————《語句》—————————————————
                                
nachdem:(従接)~したあとで   
der Stock:(Stôcke) 杖、ステッキ、棒  
die Ecke:(弱) 角、隅 
gestellt:(過去分詞) < stellen (他) 立てる、置く、据える    
gefalteten:(過去分詞+en強複3) 
   < falten (他) 折りたたむ     
auszuruhen:(zu不定詞) 
   < aus/ruhen (他) 休める、休ませる 
sich⁴setzten:座る、腰掛ける   
schien:(過去形) < scheinen(自) (~の)ようにみえる
      思われる、 
   Sie scheint reich zu sein. / 彼女は金持ちらしい.      
der Spaziergang:(_gänge) 散歩、散策 

 

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(12)(シュトルム作)


湖畔(12)
IMMENSEE(12)


——————————【12】—————————————————

vor  einem  Tische  mit  grüner  Decke,  auf  dem  
einzelne   aufgeschlagene   Bücher   umherlagen,
stand   ein   schwerfälliger   Lehnstuhl  mit  rotem  
Sammetkissen.     


.——————————(訳)————————————————

それぞれ開かれたままの本が上に散乱している緑のテー
ブルクロスが掛けられた机の前に赤いクッションを置い
たどっしりした安楽椅子があった.

 

.——————————《語句》—————————————————
         
der Tisch:[e式] テーブル、机  
grün:(形) 緑色の、(er = 強女3)
die Decke:[弱] テーブルクロス、掛け布、覆い   
einzeln:(形) 個々の   
aufgeschlagene:(辞書不掲載)→auf + schlagen
auf:(分離前綴り) 開く、開いた、開くこと;
  英語のup に対応するので、「上へ」「完了する」
  の意味も持っている.イメージは「パッカ~ン」   
das Buch:(複Bücher) 本  
umher:(分離前綴り) あちこちに、四方八方に 
umher/liegen:(自) あちこちに散らばっている、散乱し
    ている; umherliegen——umherrlag——umhergelagen
umherrlagen:(3複/過去)(主語=Bücher)
schwerfällig:(形) 重そうな、鈍重な、不器用な、
  ぎこちない、ぐずぐずした、面倒な、厄介な   
der Lehnstuhl:[(e)s/_stüle] 肘掛椅子、安楽椅子;
  der Lehnsessel (同尾式、安楽椅子)と同じ意味の単語   
rotem:rot (形) 赤い;(格語尾em は強中3)  
das Sammetkissen:[同尾式]ビロードのクッション
    Sammet →Samt (ビロードm)[e式] 
    Kissen (n)[同尾式] クッション、まくら、座布団
 
     

.——————————≪注意≫ —————————————————

vor einem Tische mit grüner Decke, auf dem  
einzelne aufgeschlagene Bücher umherlagen,
それぞれ開かれたままの本が上に散乱している緑のテー
ブルクロスが掛けられた机の前に

auf は「~の上に」だから
「それぞれ開かれたままの本の上にテーブルがあった」
と考えては間違いです.
auf dem のdem は関係代名詞でTisch を受けています.
先行詞はいつもいつも直前とは限りません.demは
女性名詞を先行詞に取ることはできません.
男性もしくは中性の3格です.auf は「場所」を言う
場合は3格支配になりますので.そうするとTisch が
先行詞だとわかります.そして関係文のほうは定動詞が
文末に来ますので、umherlagen 散らばっていた.本が
散らばっていたのです.
そして、文の本体の方の定動詞は、stand.主語はこの
あとに出てきます.主語は、 
  ein schwerfälliger Lehnstuhl mit rotem Sammetkissen.     
 赤いクッションを置いたどっしりした安楽椅子


——————————≪訳す≫ —————————————————

それぞれ開かれたままの本が上に散乱している緑のテー
ブルクロスが掛けられた机の前に赤いクッションを置い
たどっしりした安楽椅子があった.

これは直訳なので読みずらいと思います.適当に途中で
切りましょう.

緑色のテーブルクロスが掛けられたテーブルには数冊
本がちらばっていた.どの本も開かれたままになって
いた.その前にどっしりした安楽椅子が置かれていた.
赤い色のクッションがのせられていた.

ただし試験でこんな自由奔放にすれば減点の可能性あり.
採点者は修飾関係を理解しているかをチェックしていま
すから、多少ぎこちなくても、文法に沿ったほうが安全
です.卒業してから好きなように訳しましょう.

 

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(11)(シュトルム作)


湖畔(11)
IMMENSEE(11)

 

——————————【11】—————————————————

Hier  war  es  heimlich  und  still; die  eine  Wand
war  fast  mit  Repositorien  und  Bücherschränken  be-
deckt; an  der  andern  hingen  Bilder  von  Menschen
und  Gegenden; 


.——————————(訳)—————————————————
 
 そこは人目にもつかず、静かなところだった.一方の
壁は書架と本棚でほとんど埋っていて、もう一方の壁に
は人物とその周辺景色の絵が掛かっていた.

 

.——————————《語句》—————————————————
       
heimlich:(形) 秘密の、隠された、ひそかな、
      こっそりとした    
fast:ほとんど、ほぼ、おおよそ、かろうじて   
Repositorien;(複) <Repositorium (n) 書架    
Bücherschränken:(複男3) <Bücherschrank (変E) 本棚、
      本箱、書棚
bedeckt:(3単現) < bedecken (他) 覆う
Wand:(f)[_-/_¨e] 壁
      Die Wand ist voll mit Plakaten.
      壁はポスターでいっぱいだ.(アポロン独和)
die eine Wand:1つの壁は~ 
  定冠詞と不定冠詞が並んでる、と驚くかもしれませ
  んが、ここではeineは数詞なので定冠詞はおいて
  大丈夫.  
an der andern:他方の壁には~
      der は定冠詞、女性単数3格.普通部屋に壁は4つ
      あるが、ここでは2つの壁について対比を述べて
      いる.
Gegend:(f)[_/_en] 背景
Menschen und Gegenden:人物と背景
Bilder von Menschen und Gegenden:人物とその風景
      の絵
an der andern hingen Bilder von Menschen und Gegenden:
他方の壁には人物とその背景の絵が複数掛けられていた.
hingen:(3複過去) < hängen (自) 掛かっている
      掛けてある、ぶらさがっている
     hängen——hing——gehangen 

 

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(10)(シュトルム作)

 
湖畔(10)
IMMENSEE(10)

——————————【10】—————————————————

Er  stieg  sie  langsam  hinauf,  schloß  oben  eine  Tür  
auf  und  trat  dann  in  ein  mäßig  großes  Zimmer.

 

.——————————(訳)—————————————————
 
彼はその階段をゆっくりと登り、ひとつの扉を押し開け、
それからそこそこの広さの部屋に入っていった.

 

.——————————《語句》—————————————————
           
stieg:(過去形) < steigen;(自s) 昇る;
      Die Sonne steigt. / 陽が昇る.
      steigen——sieg——gestiegen
mäßig:(形) 適度の、ほどほどの、控えめな、穏当な
   そこそこの      
groß:(形) (空間的に)大きい、語尾es は混合中性4格 

      * 混合においては男1と中1,4の3つがes で 
        あとはすべて en です.
        
        

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(9)(シュトルム作)


湖畔(9)
IMMENSEE(9)

——————————【9】—————————————————

Der  Alte  ging  nun  über  die  weite  Hausdiele,
dann  durch  einen  Pesel,  wo  große  Eichschränke
mit  Porzellanvasen  an  den  Wänden  standen;
durch  die  gegenüberstehende  Tür  trat  er  in  einen  
kleinen  Flur,  von  wo  aus  eine  enge  Treppe  zu
den  oberen  Zimmerrn  des  Hinterhauses  führte. 


.——————————(訳)—————————————————
 
老人は今度は広い玄関を通って、それからあちこちの壁
の棚に磁器の花瓶が置いてある豪華な客間を通り抜け、
向かい合う扉を過ぎて、老人は小さな通路に踏み入った.
そこから狭い階段を出ると、奥棟の建物の二階の部屋に
行けた.

 

.——————————《語句》—————————————————
          
Hausdiele:(f) (弱n) [6にて既習語]
    玄関の間(衣服掛けがある)
(同義語) Hausflur:[_(e)s/_e](m) 玄関の間.
    家の戸口を入ったところのホール.
Pesel:(_s/_) [北部] (特にHolstein 地方の農家の)
    (美しく飾られた)客間
weit:(形) 広い、広大な、広々とした
nun:(副) 今、このとき、今や、さて、さあ(今度は)
    jetzt は実質「今」を表わすがnun は「さて」
    を含んでおりカバーする範囲が広い.やや
        間投詞的な話者のかけ声のような面もあると
        思います.
über:(3.4格支配前置詞、通過・横断は3格支配)
   (本文は3格支配)「~を通って、向こう側へ」     
Eichschränke:(辞書不掲載→Eiche + Schränke)
Eiche:オーク(樫、ナラ、柏などブナ科の総称)
   対訳双書テキスト側は「樫」の訳.それに
   習っておきます.
Schränke:(変母E式複数形) < Schrank (m) 棚 
Porzellanvasen:(辞書不掲載→Porzellan + Vasen)  
Porzellan:(n)[_s/_e] (アクセントは語尾ポルツェラーン)
    磁器、陶器、
Vasen:(弱変化女性複数形) < Vase
    花瓶、飾りつぼ;
an:(3.4格支配、場所は3格)「~に接して」
    本文は3格、an den Wänden / 壁ぎわに  
Wänden:(女複3、変母E式) < Wand (f) 壁    
gegenüberstehende:(現在分詞 + 格語尾e) 
gegenüber/stehen:(自)[jm, et³] 向かい合って立っている 
Tür:(f) 扉、ドア  
trat:< treten (自) 歩む、進む、行く、踏む    
Flur:(m)[_(e)s/_e] 玄関、玄関の間、入口ホール、
      屋内の通路、
eng:(形) 狭い、  
Treppe:(f)[_/_n] 階段    
ober:(形) 上の、ここでは「階上の」「二階の」  
Zimmern:(中性同尾式複数3格) <Zimmer 部屋   
Hinterhauses:(2格) 奥の建物の、裏の建物の  
führte:(過去形) < führen (他) 案内する、連れて行く
   導く
 

.——————————≪解釈≫ ————————————————

最後2行がわかりにくいかと思います.
Flur, von wo ~zu den Zimmerrn führte:部屋に行ける通路
これが屋台骨で、これにいろいろトッピングされていま
す. 
Flur, von wo aus eine enge Treppe zu den oberen Zimmerrn führte
狭い階段が終わると上の部屋に行ける通路

er trat in einen kleinen Flur, von wo aus eine enge Treppe zu
den oberen Zimmerrn des Hinterhausers führte.
彼は狭い階段が終わると奥の建物の上の部屋に行ける通路
に踏み入れた.

durch die gegenüberstehende Tür trat er in einen  
kleinen Flur, von wo aus eine enge Treppe zu
den oberen Zimmerrn des Hinterhauses führte. 
向い合うドアを過ぎて彼は通路に踏み入った.
そこから階段を上がると奥棟の建物の二階の部屋
に行けた.

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(8)(シュトルム作)


湖畔(8)
IMMENSEE(8)

——————————【8】—————————————————

Der   Mann   winkte   ihr   mit   seinem   Rohrstock.
  „ Noch  kein  Licht ! “  sagte  er  in  einem  etwas
südlichen  Akzent; und  die  Haushälterin  ließ  den  
Vorhang  wieder  fallen.

 

.——————————(訳)—————————————————
 
男は籐のステッキを彼女に振ってあいさつをしました.
 「まだ灯りは点さないのか?」男はいくぶん南部訛り
のアクセントで言いました.すると老家政婦は再びカー
テンを下げて閉めました.


.——————————《語句》—————————————————
       
        既出語も入れておきました.
winkte:(過去形) < winken (自) (あいさつなどのため
    に手などを) 振る;(手などを振って)合図する;
        mit einem Taschentuch winken / ハンカチを振る
        Zum Abschied winkte er den Eltern./ 彼は手を振
        って両親に別れを告げた.         
Rohrstock:(m) [懲罰用の] 籐の鞭、または棒
      ただし本文では老人が歩行用に携えていたこと
      から、これは籐製のステッキとするのが自然.
      双書側の訳もそうなっていましたで、それに習
      いました.
südlich:(形) 南の (格語尾en は男弱3) 
Ak'zent:(m)[_(e)s/_e] アクセント   
Haushälterin:(f) 女性の家事管理人、テキスト訳では
    「家政婦」、これを採用します.尚、
     Haushälter (m) なら「執事」を指します.
ließ:(過去形) < lassen 
   ここではet⁴ fallen lassen で「落とす」
  つまり、持ち上げていたカーテンを下ろした.
Vorhang:(m)[_(e)s/_¨e] (厚手の)カーテン、
     (舞台の)緞帳、幕  

 

語学学習日記(ドイツ語学習)『湖畔』(7)(シュトルム作)


湖畔(7)
IMMENSEE(7)

——————————【7】—————————————————

Bei  dem  Schall  der  Türglocke  wurde  drinnen  in
der  Stube  von  einem  Guckfenster,  welches  nach
der  Diele  hinausging,   der  grüne  Vorhang  weg-
geschoben  und  des  Gesicht  einer  alten  Frau  da-
hinter  sichtbar.   

 

.——————————(訳)—————————————————
 
その戸口のベルの音により、部屋の中にいて玄関の外が
見られるのぞき窓から緑のカーテンが押しのけられ、ひ
とりの老婦人の顔がその背後から見えた.

 

.——————————《語句》—————————————————
         
Schall:(m)[(e)s/_e,  マタハ ¨e] 音、音響、響き     
Türglocke:辞書不掲載→ Tür + glocke
Tür:(f) [_/_en] ドア、扉        
Glocke:(f)[_/_n] 鐘、大きな鈴、ベル  
再度 Türglocke:「戸口のベル」のことだと思います.   
drinnen:[~の]中に = darin =drin (口語)
Stube:(f) [_/_n] (南ドイツ)居間、[古語]部屋       
Guckfenster:辞書不掲載→ Guck + fenster      
gucken:(自) 見る、のぞく
    aus dem Fenster gucken / 窓から[外を]見る
    in den Spiegel gucken / 鏡をのぞく 
再度Guckfenster:(n)[_s/_] 「のぞき窓」のことでしょう    
welches:関係代名詞で中性1格、4格、ここでは
    「のぞき窓」を受けて、nach と共に
Diele:(f)[_/_n] ❶床板、❷玄関の間、控えの間
hinaus :(副)❶(内から向こうの)外へ、❷越えて
hinaus/gehen:❶外に出る、❷(道などが)上へ通じている、
      ❸面している
Guckfenster, welches nach der diele hinausging:
    そののぞき窓はそこから玄関の外へ 
grün:(形) ❶緑色の、❷生の、未熟な  
Vorhang:(m)[_(e)s/_¨e] (厚地の)カーテン   
weggeschoben:(過去分詞) 
   <weg/schieben (他)[...⁴を] 押しのける   
Gesicht:(n) 顔、顔つき    
dahinter:(副) その後ろに、その裏に  
sichtbar:(形) 見える、可視的な 


.—————————≪訂正≫ —————————————————

間違い箇所がありましたので、訂正いたします.
すみませんでした.

【誤】welches:関係代名詞で中性1格、4格、ここでは
    「のぞき窓」を受けて、nach と共に
* nach は次の hinausgingとセットで「~に面した」
ここではnach der diele hinausging で「玄関に面した」
これが welches  der grüne Vorhang weggeschoben という
文中に挿入句として、はめられているので、welches 
つまり「のぞき窓」にある緑のカーテンが押しのけら
れたということでした.

混乱させてすみませんでした.

 


.—————————≪不明点≫ —————————————————

今回の学習で不明点が残りました.des Gesicht です.
なぜ2格に置かれているのかが不明のままになりました.
des Gesicht はsichtbar とセットになっていて、「顔が見え
る」となるはずですが、sein などの繋辞が見当たりませ
ん.まあ、これは文をはぎれよい語調にするため省いて
いると考えれば、それでいいのですが、ではなぜ2格?
という疑問は依然残ったままです.
 テキストは註釈付きの対訳双書なのですが、あいにく
この箇所についての解説はありません.
 名詞2格に特別な用法があるのか、調べましたが文法
書には副詞の2格とザクセン2格の説明しまありません
でした.
   まあ力尽きた時は、人のせいにしておきましょう.
きっと印刷ミスなんだよ.das Gesicht だったことにして
おきましょうかね.


.——————————≪長文≫ —————————————————

いきなり5行にまたがる長文です.文の屋台骨となる
主語、述語は受け身形式で、der grüne Vorhang wurde
~ weggeschoben. / 緑のカーテンが押し開けられた.
これをピザ生地とすると、この上にいろいろトッピング
されています.
    まずdrinnen in der Stube / 部屋の中で、 
次にvon einem Guckfenster, welches nach der Diele  
hinausging / そこを通して玄関の外が見える覗き窓から

これをトッピングするとピザはこうなります.
「部屋の中で玄関の外が見える覗き窓から緑のカーテン
が押し開けられた.」

  そして最後にくだんの不明箇所をくっつけて、

「部屋の中で玄関の外が見える覗き窓から緑のカーテン
が押し開けられ、ひとりの老婦人の顔がその背後から見
えた.」

ということで、おいしいピザのできあがり.

何?不明の具材入りのピザを食べておなか痛くなったら
どうするって?

学習災害保険ってないかしらん.