第9教室:『湖畔』(ドイツ語学習)『アルト・ハイデルベルク』学習済み

『湖畔』を読みながらドイツ語の学習をしましょう.

語学学習日記(ドイツ語学習)アルト・ハイデルベルク(99)

アルト・ハイデルベルク(99)


—————————————【99】———————————————————

Schölermann. (ganz in Angst). D—d—drüben—

Rüder. Da drübe ischt das Schloß.

Lutz. Ich frage. was für ein Schloß ? Wem gehört es ?
Wer wohnt da ?

Rüder. 's ischt zerschosse. Die Franzose habe es mit
Kanonekugele zerschosse.

Lutz. Also kein Schloß. Wenn man ein Schloß zerschossen hat,
so nenne ich es kein Schloß mehr, sondern eine Ruine.
In dieser Stadt scheint alles eine Ruine zu sein.

  Rüder. Nei, 's ischt die einige.

Lutz. Es ist gut.

Rüder. 's ischt die allereinzigste.

Lutz. Schölermann ! 

Schölermann. Herr Lutz ?

Lutz. Der Mann ermüdet mich. ——(Seufzt.) Ja,Ja,Ja.——
(Er steht müde auf.) Ich will die Wohnung sehen.

Schölermann(eilig). Bitte hier, Herr Lutz.

(Draußen von neuem
Peitschenknallen. Lärmen, Wagengerassel, Hundegebell,
Lachen, Rufen, Die Musik setzt ein:
» Was kommt dort von der Höh' «.)

Lutz. Was ist da los ?

Rüder. Sie kommen ! (Ruft). Käthie ! Die Schwabe komme.
Fr. Rüder. Die Vandale auch.

——————————— (訳) ————————————————

シェーラーマン:(すっかりおどおどして) あ、あの向こうです.

 リューダー:あの向こうに城があります.

    ルッツ:どういう城かと聞いておるのだ.誰の城なのだ?
        誰が住んでいるのだ?

リューダー: 攻撃を受けて穴ぼこだらけですよ.
       フランス人が砲弾を撃ち込んで破壊してしまった
       のです.

  ルッツ: それなら城ではない.破壊されてしまったら、それは
      もう城とは言わず、廃墟というのだ.この町では全て
      が廃墟に見えますな.  

リューダー:いえ、あれひとつだけです.

  ルッツ:もうよろしい.

リューダー:あれひとつだけですってば.

 ルッツ:シェーラーマン!

シェーラーマン:ルッツさま?

   ルッツ:この男には骨が折れる.(ため息をつく)そうそう、そうだ、
    (へなへなと立ち上がって)私は部屋を見るとしよう. 

シェーラーマン:(急いで)どうぞ、こちらでございます、ルッツ様.

  外ではパシッパシという馬車の鞭の音、騒ぐ声、馬車の
  ギーギーと軋る音、犬の鳴き声、人の笑い声、叫び声
  音楽「馬車から降りてくるのはだあれ」* が始まる.


  ルッツ:何だ?何が始まるのだ?

リューダー:みんなやって来たぞ!
     (叫ぶ)ケティー、シュヴァーベン学生団が到着だ.

リューダー夫人:ヴァンダル学生団もご到着よ.



———————————《語彙》————————————————

ganz (副) 完全に、全く、すっかり
さらに強調すると、ganz und gar
die Angst (変E) 不安、心配
in (~の状態で、3格要求) in guter Laune sein 機嫌がよい
             in schlechter Laune sein 機嫌が悪い
in Angst 心配して、不安げに、おどおどして
Angstは通常無冠詞で用いる
drüben (副) 向こう側で
zerschosse (南部訛り)→ zerschossen (過去分詞)
<zerschießen (他) 射撃(銃弾)によって穴だらけにする
射撃(銃弾)によって破壊する / 傷つける
zerschießen zerschoss zerschossen
der Franzose (nタイプ) フランス人
Kanonekugele 辞書不掲載 → doe Kanone (nタイプ) + kugel
  = 大砲 + 弾丸、砲弾 = 砲弾
also (副) では、じゃあ
die Ruine (nタイプ) 廃墟 
nei nein の南部訛り
's ischt die einige. それ(廃墟)はこれ1つだけです. 
einig は「若干の」「2,3の」「少数の」という意味が基本
ですが、「唯一の」という意味もあります. 
der einige Gott 唯一の神
allereinzigste → aller + einzigste
einzigste (形容詞最高級) √einzig (形) 唯一の、ただ一つの
aller [アラー] 形容詞最高級の前綴りに付けてその意味を強める 
再掲allereinzigste たったひとつだけの
ermüdet (現3単) <ermüden (他) 疲れさせる、疲労させる
  eine errmüdende Arbeit 骨の折れる仕事
seufzt (現3単) <seufzen (自/s) ため息をつく
steht müde auf →auf/stehen (自/s,h) (座った状態から) 立ち上がる
eilig (形 / 副) 急いだ、急いで
draußen (副) 戸外で、外で
Peitschenknallen → Peitschen + knallen
die Peitsche (nタイプ) むち(特に乗馬用の革製のむち)
der Knall [クナル](eタイプ)[擬音] ぱちっという音、どかんという音
                爆発音 
Lärmen:動詞 lärmen の名詞用法;騒ぎ、騒音、喧噪
  本来の名詞は Lärm (男性名詞、単ノミ) 
  lärmen (自) (人が)騒ぐ、騒ぎ立てる 
Wagengerassel 辞書記載なし→ Wagen (車) + Gerassel
das Gerassel (単ノミ) (絶え間ない) ガタガタ音、ガチャガチャ音
Hundegebell 辞書記載なし → Hunde + Gebell
das Gebell (単ノミ) (犬などが絶え間なく) ほえること
das Lachen (単ノミ) 笑い(声)
Rufen :動詞rufen の名詞転用、本来の名詞形は der Ruf (eタイプ)
尚、動詞が名詞転用される場合は、「中性名詞」扱いとなる.
setzt ein <ein/setzen (自) [文語] 始まる、起こる 
los (副) 始まる、やり始める、用意する、などの意味をもつ状況補語


* Was kommt dort von der Höh'「馬車から降りてくるのは誰?」
別名、「キツネ狩りの歌」としても有名な曲で、ご年配の方には
昔1960年代~70年代、旺文社のラジオ講座のテーマ曲でおなじみ
ではないでしょうか?
キツネとは、新入生のことで、この戯曲では新学期コンパには
多数の新入生がやって来る設定です.

 https://www.youtube.com/watch?v=bhNRzZaV0sE