第9教室:『湖畔』(ドイツ語学習)『アルト・ハイデルベルク』学習済み

『湖畔』を読みながらドイツ語の学習をしましょう.

語学学習日記(ドイツ語学習)アルト・ハイデルベルク(92)

アルト・ハイデルベルク(92)


—————————————【92】———————————————————

Erster Musikus.  Herr Graf——?

Detlev.  Liebe Freunde,  wenn man die Ehre hat,  ein solches Lied
   zu spielen,  so legt man Seele hinein,  zum Donnerwetter !  Grazie
   und Humor !  Ich werde euch  eine Bowle bezahlen, damit eure
   trocknen Seelen zu kapieren anfangen.

Erster Musikus.  Schönsten Dank, Herr Graf.

Käthie (viele Bierseidel in beiden Händen).  Kommt's alle mit.
    (Geht links hinten wieder ab, von allen gefolgt.)

Detlev.  Kellermann !

Kellermann.  Herr Graf ?

Detlev.  Wir werden diesen Musikanten eine Bowle geben lassen.

Kellermann.  Jawoll.(Beide ab.)


———————————  (訳)  ————————————————

第1楽団員:伯爵さま——? 

デトレーフ:親愛なる諸君、仮にもこのような歌を演奏する栄誉
  に預かったのだ.心を込めてやるものさ! いいか、エレガント
    に、そして愉快にやるんだ.君たちにパンチを振舞おう.それで
  もって、諸君の干からびた心にも理解が行くようになるさ.

第1の楽団員:ありがとうございます.伯爵さま.

ティー:(両手にたくさんのビールジョッキを持って)
      みなさん、一緒においで下さい.
     (みんなに付き従われて、再び左手奥に退場.)

デトレーフ:ケラーマン!

ケラーマン:伯爵さま、何か?

デトレーフ:我々は楽団員のみなさん全員にパンチを提供しよう
    じゃないか.

ケラーマン:はい、そのように.  (ふたりは退場)
    

———————————《語彙》————————————————

die Ehre (弱) ❶名誉、面目、❷敬意    ❸自尊心、プライド    
legt…hinein <hinein/legen (4格を)中に入れる  
die Seele (弱)❶(単のみ)心、精神、❷魂、霊魂
das Donnerwetter (同尾式) 雷雨  ❷[口語] 叱責、大目玉
Donnerwetter ! これは驚いた!
zum Donnerwetter !  畜生! ここでは「しっかりしろ」とか
  「わかったか」、「喝」など、どなりつけの一声がいいと思います.        
die Grazie [グラーツィエ](弱)❶(単のみ) 優美、優雅、上品    
der Humor [humó:r フモーア](単のみ、稀にE式) ユーモア、
die Bowle [ボーレ](弱) パンチ(ワインにレモン果汁、炭酸水などを
 まぜた飲み物)(たぶん赤ワインがベース) 
trocknen <trocken (形) ❶乾いた、乾燥した、❷雨が降らない
        ❸干からびた ❹(酒が)辛口の    
bezahlen (他) (4格の)代金を支払う ここでは「みんなに振舞う」
kapieren (他) (4格を) 理解する、わかる       
Bierseidel (辞書不掲載) → Seidel 
das Seidel (同尾式) ビールのジョッキ
mit/kommen (自/s) いっしょに来る、いっしょに行く、ついて行く
Kommt's alle mit.  Kommt's は何が省略された形なのかはわかりませんが、
 「みんないらっしゃいな」という2人称複数の命令形です.
  ihr に対する命令なのでKommt mit ! alle は相手への呼びかけ
  ケティーの言葉なので、オーストリア方言もあることでしょうから
  あまり、詳細に解明するのは難しいと思います.     
hinten (副) 後ろに、奥に、裏に、背後に     
links    左に、左手に、左側に      
ab (副)離れて、外れて、 [演劇] 退場     
von  [受動表現の行為者] ~によって     
  Das Kind wurde von der Mutter gescholten. その子供は母親に叱られた.
  von allen gefolgt みんなに付き従われて  
Wir werden diesen Musikanten eine Bowle geben lassen.
    我々はここにいる楽団員のみなさんに、パンチを振舞おう.
  直訳は「楽団員のみなさんにパンチを与えさせよう。」
  字句通りならgebenがあるのでデトレーフ自身が与えるのでなく、
  リューダーの店に与えさせるという使役のlassen ですが、この真意
  は店は関係なく、「楽団員に飲ませてあげよう」の意味.
    つまり、geben lassen与えせしめる、のではなく、trinken lassen 
    飲ませてあげよう.(...と思います)


———————————≪解説≫——————————————

wenn man die Ehre hat, ein solches Lied zu spielen, 
このzu 不定詞(zu spielen)は die Ehre を後方から修飾しています.
「仮にもこんな歌を演奏する栄誉があたえられたのなら」
となります.
それに続く文は
 so legt man Seele hinein. / 心を込めるものだ.
命令形ではない一般叙述文ですが、「~するものだよ」
と言われれば、実質「命令文」と同じ力を持っています.