第9教室:『湖畔』(ドイツ語学習)『アルト・ハイデルベルク』学習済み

『湖畔』を読みながらドイツ語の学習をしましょう.

語学学習日記(ドイツ語学習)アルト・ハイデルベルク(110)

アルト・ハイデルベルク(110)

 


————————————【110】——————————————————

 

Lutz:Um vier Nachmittags kommen wir nach Frankfurt.  Ich
       gehe in den Wartessal,  um eine Flasche Selters zu trinken,  
          da sitzt Se. Durchlaucht !
Schölermann:(erschreckt) Wo ?
Lutz:Im Wartessal !  Neben diesem Doktor !  Se. Durchlaucht trinkt 
          Bier !  Hält in der Hand ohne Handschuh ein fettiges Papier 
          mit sogenannten Frankfurter Würsten.  
Schölermann:—Ach !—
Lutz:—ißt davon !
Schölermann:(total perplex) Ja—
Lutz:Es rennen Leute vorbei,  stoßen an Sr. Duechlaucht Stuhl,
          setzen sich an denselben Tisch,  machen Lärm—da hör' ich   
          diesen Doktor schreien.   » Kellner ! noch zwei ! «  
      
————————————— (訳) ————————————————

ルッツ:午後4時に、私たちはフランクフルトに着いたんだ.私は
                1本炭酸水を飲むために、待合室に行ったんだ.
    何とそこには殿下が座っていらっしゃる!
シェーラーマン:(びっくりして)どこにですか?
ルッツ:待合室にだよ.あの博士の隣にだ!  殿下は手袋もはめずに
                ビールを飲んでおられた. 手にはあのフランクフルトソー
    セージというものを包んだ油だらけの紙を持っておいでなのだ.
シェーラーマン:—何と!—
ルッツ:—その汚れた紙の中を召し上がられていた !
シェーラーマン:(すっかりうろたえて) そうでしたか—
ルッツ:人がみんなそのそばを突き刺さんばかりに走っていくのだ.
    殿下の椅子にぶつかる者もいた.同じテーブルに着く者ども
    いた.騒ぎ立てる者どももな—そこへもってきて、あの
    博士が叫ぶんだ.「ボーイさん、ビールあと2杯!」とな.

 

—————————————《語彙》———————————————

der Wartessal [ヴァルテザール](変E) (大きな駅などの) 待合室
die Flasche (Nタイプ) 瓶
  eine Flasche Bier ビール1本、eine Flasche Wein ワイン1本
Selters:Selterswasser (炭酸入りミネラルウォーター) (北ドイツ)
erschreckt:(3単現) <erschrecken (自)驚く、どきっとする
   3変化:erschrecken、erschrak、erschrocken
           尚、(3単現)の形はerschrickt もあり、こちらが標準なので
   こちらで覚えましょう.Er erschrickt./ Du erschrickst.        
der Handschuh (Eタイプ) 手袋
    手袋をはめている:Handschue tragen
           手袋をはめる:Handschue anziehen  
           手袋を脱ぐ:Handschue ausziehen 
fettig (形) 油で汚れた  [ここではPapier が中性単数のため
            混合中性4格語尾 es を伴う]                  
sogenannt (形) いわゆる
Frankfurter (形) フランクフルトの [格語尾はつきません]
die Wurst  ソーセージ  [女性名詞ながら強変化、変Eタイプ]
      die Wurst..... die Würste
        der Wurst......der Würste 
        der Wurst......den Würsten 
        die Wurst......die Würste 
ißt (3単現、新綴りはisst) <essen (他) 食べる / (自) 食事をする 
       essen 3変化:essen,  aß,  gegessen 
davon:ここでは von dem fettigen Papier     
rennen (自) 走る、駆ける (他) 突き刺す     
vorbei (副) 通り過ぎて  
  辞書不掲載でしたが、ここではvorbei /rennen という分離動詞と
  考えてもよいでしょう. 
es:これがあるためrennen は他動詞.そうなると、人々を突き刺す
  というのは常識的に不可.よってLeute が主語で、es がA格.
  ちなみにes はN格G格D格A格の順でes,  seiner,  ihm,  es 
    さて、そのes が指すものは何か?具体的に描かれておりません.
  ここでは、「その状況を」指していると考えましょう.
  殿下がフランクフルトを召されているその状況で、そのそばを
  人々が突き刺すようにそばを駆けてゆく、という感じだと思います.
  (文法欄でもう一度見てみましょう.
stoßen (他)[Aを] 突く、突き刺す
   (自) (an を) 突く、突き刺す
           (an に) ぶつかる、衝突する
   3変化:stoßen…stieß…gestoßen
der Lärm (単ノミ) 騒音

—————————————《文法》———————————————

Es rennen Leute vorbei. /  (殿下の) そばを駆け抜ける人たちもいた.
 しつこいけれど、再度 es の説明です.定動詞が3人称複数形な
ので、先ほどのご説明で間違いかとは思いますが、別の角度からも
みてみましょう.
 英語の構文でThere is ~、There are ~ というのがありました.
どうも文の雰囲気からして、これによく似ていると思い、このコー
ナーで取上げました.では、これを英語のこの構文に当てはめてみ
ましょう.
 There are people running through.  あるいは
 There are people passing by.
が考えられます.

そうしてみると、英語のthere に対応する成分はドイツ語では es にな
るかと思われます.
 Es ereignite sich ein Unfall./ 事故が発生した.
  There happened an accident./ 同上

 Es kamen drei Soldaten heran./ 3人の兵士が近づいてきた.
 There came nearer three solders. / 同上

これらの違い目は何かというと、there が副詞なのに対しes は
文の主語であり、動詞を定める力を持っていること.
それ以外は同じ役目で、「これからあるお話をしますよ」という
前置きの役目を持っていることです.

ですからes という仮主語に対し、意味上の主語には不定冠詞か
数詞がついています.英語の場合も、「there + V + 主語」の
主語は不定冠詞か数詞がつくのが普通のようです.

結論:ドイツ語のes は英語のthere に似た働きがある.
   ただし文法機能はちょっと違うが…