第9教室:『湖畔』(ドイツ語学習)『アルト・ハイデルベルク』学習済み

『湖畔』を読みながらドイツ語の学習をしましょう.

語学学習日記(ドイツ語学習)アルト・ハイデルベルク(68)アクセスに応え夏休み臨時投稿

アルト・ハイデルベルク(68)

 

—————————————【68】——————————————

Karl Heinrich.   Doktor,  kommen Sie mit,  wir trinken ein
       Glas Wein,  Sie  müssen  auf andere Gedanken kommen,
       lieber Doktor.
Doktor.   Nein,  nein !  Keinen Wein !  Keinen Alkohol.
       Überhaupt,*  was  soll ein Mensch in Heidelberg,  der keinen
       Wein mehr trinken darf ?  Der an Herzverfettung  leidet.
       Sie haben  mich  in diesem Schlosse  zu Tode gemästet !
       Essen  und  Trinken,   das war  die einzige Unterhaltung.
       Nie Bewegung, ewig Aerger.*  Acht  Jahre,  in denen man
       sich nicht  hat  bewegen dürfen.


—————————————(訳)——————————————

カール
ハインリヒ:博士、一緒に来てください.私たち、ワインを
     飲みましょう. 

 

博士:いやいや、ワインはよそう.ほかの酒もやめて
   おこう.そもそもハイデルベルクでワインをもはや
   飲まないような人間は何たるものぞや.心脂肪を
   患っているこの人間が(何の用事があるのだ?)
   この城館でやつらは私に食べるだけ食べさせて
   思い切り太らせてしまった.食べることと飲むこと
   だけがささやかな楽しみだった.感動もなく、止む
   ことのない怒りが続いてきた、8年間.そう8年間
   感動は許されなかったのだよ.


————————————《語句しらべ》———————————
  
Gedanken<der Gedanke {_ns/_n} 考え
auf andere Gedanken kommen 考え直す
lieber (形) 愛する lieber Doktor 愛しの博士
  日本語では大げさ過ぎるので、普通は訳しません.
die Herzverfettung {_s/複無} 心周囲脂肪沈着、心脂肪
zu Tode gemästet haben 死ぬほど太らせてしまう(現在完了)
der Tod [トート]{_es/_e} zu Tode 死ぬほど、こっぴどく
gemästet<mästen (他)(家畜を)肥育する、太らせる
[口語](4格に)たくさん食べさせる 食べさせて(太らせる)
die Unterhaltung {_/en} ① (楽しい)会話
    (複無し) ② 楽しみ
die Bewegung {_/_en} ① 動き、運動. ② 感動、興奮
ewig (形) ①永久の ②(述なし)絶え間ない、不断の
(副)永久に、不断に、非常に永い
bewegen ①動かす ①心を動かす
  ここでは①②どちらにも解釈でき、①なら
  「この8年間、運動もせず・・」、 ②なら
  「この8年間、感動もなく・・」
  ちなみに、旺文社文庫では ①の意味で訳されています.
  私はÄrger(怒り)と対と考え「感動」としてみました.
Überhaupt,* 原文は Ueberhaupt  おそらくウムラウト
   代用入力がされているのだろう.代用入力とは  
     ä = ae  ö = oe  ü = ue  ß= ss
のことで何らかの都合でウムラウト記号を打たない
場合やßを避ける場合に使われる.
   意味は(副)「そもそも」、「一般に」
Ärger * 同じく原文側は Aerger. 同じく何らかの理由
  (大文字の上のウムラウトを避けたかったなど)で 
   代用書きされたもの.   
意味は(m){_s/複無}「怒り」、「立腹」

  * 尚、ドイツ正書法では、大文字のウムラウト
   打たなくてもいいことになっている.