第9教室:『湖畔』(ドイツ語学習)『アルト・ハイデルベルク』学習済み

『湖畔』を読みながらドイツ語の学習をしましょう.

語学学習日記(ドイツ語学習)アルト・ハイデルベルク(161)

 
アルト・ハイデルベルク(161)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌


——————————【161】———————————
       
.........Minister: (Pause).  Es steht mir nicht zu, darüber zu 
............................urteilen,  ob es richtig war, für Eure Durch-
............................laucht  dieses  Universitätsjahr  auf  einer 
............................süddeutschen Hochschule für notwendig zu
............................befinden.

Karl Heinrich: Steht es Ihnen nicht zu,  Exzellenz ?  Das
............................freut mich,  dass Ihr Gewissen  mit dieser 
............................Verantwortung nicht  belastet wird. Univer-
............................sitätsjahr !  Ein Jahr hat zwölf Monate. Ich
............................war vier Monate  in Heidelberg.  Ich habe
............................keine  Neigung,  auf  die übrigen acht gut-
............................willig  zu  verzichten.  Man  hat mir  von 
............................meiner  Jugend  genug   genommen,   so 
............................ziemlich  alles.  Das  Wenige,  was  übrig
............................bleibt, behalte ich !  
  
.........Minister: Heißt  das,  Eure Durchlaucht,  dass Eure 
.............................Durchlaucht entschlossen sind, nicht nach 
.............................Karlsburg zurückkehren ?

Karl Heinrich: Ja.

             (Lange Pause)


—————————————(訳)————————————————

...............大臣: (小休止).殿下にとって南ドイツでの
.............................この1年間の大学生活が必要であった
.............................と思うことが、正しかったかどうかは、
.............................私が判断する立場にはありません.

...カール・ハインリヒ: 閣下、あなたはその立場にないとおっし
.............................ゃるのですか? それはよかった.あな
.............................たは良心の呵責に苛まれないのですから. 
.............................大学の1年の学期!1年といえば12か
.............................月.私はハイデルベルクに来て4か月.
.............................残りの8か月の学期を進んで権利放棄
.............................する気はありません.
.............................私は自分の青春をずっと奪われてきたの
............................です.じゅうぶん過ぎるほど、そう殆ど
............................すべてをね.わずかな青春を、残された
............................ほんのわずかなものを、私はここに持っ
............................ておくのです!
       
...............大臣: 殿下、それはつまり殿下はカールスブル
.............................クへお戻りにならないということをご決
.............................意なさったということですか?

...カール・ハインリヒ: そうです.

             (長い間)


————————————《語彙》———————————————
    
urteilen:(自) 判断する; 
    über et⁴urteilen (事⁴) について判断する
               意見を述べる
es steht mir nicht zu + 不定詞:それは私が~する立場では
    ない               
Es steht mir nicht zu, darüber zu urteilen:
 それについて判断するのは私の立場ではない.  
——————————————————————————
 これより本文での意味は●白抜き番号で、その他の
 一般的意味は〇囲み番号で表記します.●が2つ
 以上あるのは、どちらの意味も成立する、という
 ことです.
——————————————————————————  
notwendig:(形) ❶是非必要な、必須の、②必然的な、
      不可避的な
befinden:(他) jn⁴ [et⁴ ] + ≪容態の副詞(句)≫
    4格を~と思う
        et⁴ für gut befinden / 物⁴を良いと思う
richtig:(形) ❶正しい、間違っていない;
    ❷適切な、ふさわしい;   ③うってつけの       
das Gewissen:(同尾型) 良心、道徳意識         
die Verantwortung:(弱en、複数まれ) 責任               
belastet:(過去分詞) <belasten (他)
     ①(物⁴に)荷重をかける
        Die Brücke darf nicht noch mehr belastet werden.
        橋にこれ以上の荷重を加えてはならない.
        ❷(人⁴に)荷重を負わせる、負担をかける、
    (を)苦しめる、悩ます、煩わす (mit³  物³ で)
        sein Gewissen mit Schuld belasten  
    罪の意識で良心を苦しめる          
die Neigung:(弱en、複数まれ) ①傾けること、傾き、
    傾斜、勾配、
        ❷傾向、性向、(~したい)気
        ⦅zu不定詞句と⦆
    keine Neigung haben, …zu tun / …する気がない        
verzichten:(自) <auf et⁴>[権利などを] 放棄する、
        断念する、棄権する
    auf sein Recht verzichten / 権利を放棄する
    auf acht Monate verzichten / 
    8か月の権利を放棄する   
übrig:(形) 残りの、まだ残っている
        本文ではübrigen で語尾のen は弱変化複数の格語尾. 
    複数ではすべてen となります.
    das übrige / その他の、それ以外の
    die übrigen / その他の人たち、それ以外の人たち 
    die übrigen acht (Monate) 残りの8か月 .
    auf die übrigen acht verzichten
        残りの8か月の(学期期間)権利を放棄する 
acht:(数詞) 8; ここでは、 acht Monate / 8か月
    12か月の学期予定期間がまだ8か月残っている、
        国務大臣に抗議しています.
gutwillig:(形) ①好意の、親切な、❷自発的な、進んでの    
genug:(副) じゅうぶんに、たっぷりと、
      うんざりするほど 
das Wenige:wenig (形) [わずかな、すくない] の名詞化、
    わずかなもの(1格、4格)
   (ここでは4格で「わずかなものを」)  
behalten:(他) 取っておく、手元に置いておく 
entschlossen:(形) 決心した、決意を固めた  
von meiner Jugend:(2通りの解釈が可能です)
    ❶私の青春から(ほとんどすべてを)
              ❷私は幼い頃から
    Jugend には❶青春期、❷幼い頃、どちらの
  意味もあります.定訳本を参考に書いておきます

学研新書  :私は自分の青春を…奪われてきました
旺文社文庫 :ぼくは、幼いころから…うばわれて… 
❸岩波(丸山) :わたしの青春は…奪い取られてきた…
❹岩波(番匠谷):わたしの青春時代は…奪い取られ…

「幼い頃から」と訳した方が少なかったようです.
おそらく、その場合、von meiner Jugend のあとにan か
auf を置いていたら、すべての本100 % がこの訳になっ
ていたと思います.von だけでは「奪格」の意味が残り
ますが、an もしくはauf を添えることによって、「継続」
の意味だけになるからです.  
   英語でも、「その日から」という場合、しばしば on
を付け足します.from that day on という風にfrom と
on でサンドイッチにしてやるわけです.それが
ドイツ語では von …an とか、von…auf になる、と
いうことですね. 
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Heißt das, .... dass ~ ?:それは~ということですか?
  * heißen には「~という名前です」の他に
 「~を意味する」という使い方があります.
 日本語の「~だと言っているのですね」に相当する
 言い回しだと思います.


—————————————≪解釈≫————————————————

Es steht mir nicht zu, darüber zu urteilen,  ob es richtig war, 
für Eure Durchlaucht  dieses  Universitätsjahr  auf  einer 
süddeutschen Hochschule für notwendig zu befinden:.

darüber はüber das のことで、このdas は ob 以下
のことについて.

ob 以下は
ob es richtig war, 
それが正しかったかどうか(について)は

Es steht mir nicht zu, darüber zu urteilen
そのことについては私には判断する立場にはない.

Es steht mir nicht zu, darüber zu urteilen ob es richtig war
そのことについては私には正しかったかどうかを
判断する立場にはありません.

そして「そのこと」というのは

für Eure Durchlaucht dieses Universitätsjahr  
auf einer süddeutschen Hochschule für notwendig zu befinden
殿下にとって南ドイツでのこの1年間の大学生活が必要で
あったと思うこと、

そのことが、正しかったかどうか(について)は
私は判断する立場ではない.


Es steht mir nicht zu, darüber zu urteilen,  ob es richtig war, 
für Eure Durchlaucht  dieses  Universitätsjahr  auf  einer 
süddeutschen Hochschule für notwendig zu befinden:.
殿下にとって南ドイツでのこの1年間の大学生活が必要で
あったと思うことが、正しかったかどうかは、私が判断す
ることはできません.(そんな立場ではありません)